10月17日(水)静岡県議会文教警察委員会の県外視察2日目。
本日は、一昨年に発生した東日本大震災により多大な人的、物的被害を受けるとともに、震災に伴う福島第一原子力発電所の事故により、現在でも警戒区域内の住民は避難を余儀なくされています。
そのような状況のなかで、福島県警には平常時とは大きく異なる活動が求められており、福島県警における大規模災害・原子力災害発生時の警察活動及び警察施設の被災状況を視察しました。
また、併せて福島県警に出向している静岡県警の警察官の激励と活動状況等を視察しました。
三陸沖、深さ24キロメートル、マグニチュード9(国内観測史上最大)
県内の震度、中通り、浜通りで震度6強を記録
津波警報 平成23年3月11日(金)午後2時49分
最大波 午後3時50分、7.3メートル以上(相馬市沖)
原子力発電所事故
〓3月12日(土)午後3時36分 福島第一原発1号機が爆発
〓3月14日(月)午前11時1分福島第一原発3号機が爆発
〓3月15日(火)午前6時福島第一原発4号機から火災
〓3月15日(火)午前6時10分福島第一原発第2号機から爆発音
[福島県警察本部による被災状況と対応について]
~災害対策課長さんより説明~
視察2日目は午前9時より、福島県庁内の議会棟の会議室にて、まずはじめに県警の被災後の取り組み状況についてご説明を頂きました。
福島県町内にあった警察本部は県庁が被災したために、福島署に災害警部本部等を移したということでした。
全国からの警察による災害警備については、他都道府県警察の対応は9月30日現在で延べ42万人に上っているということでした。
福島県警の職員の活動延べ人数は、約139万人を数える。
平成24年9月30日現在の合計は、181万1799人となっている。
被害状況
■死者
・ご遺体収容 1,606体
・身元判明 1,603体
・身元不明 3体
■行方不明者 211名
■DNA、指紋、デンタルチャート、HP掲載等による身元確認(平成24年
警察の被害
・双葉警察署 2名殉職 1名行方不明
・南相馬警察署 2名殉職
被害に遭われ殉職された方は津波避難誘導中だったとのことです。
■警察施設
全警察施設402ヶ所の34.2%にあたる138ヶ所が被害
捜索活動開始の経緯(福島第一原発周辺)
平成23年
■3月17日(木)20~30㎞圏内の捜索を開始(6日後)
■4月3日(日)10~20㎞圏内の捜索を開始(20日後)
■4月14日(木)10㎞圏内の捜索を開始(1ヶ月過ぎて)
■4月24日(木)5㎞圏内の捜索を開始
※一人一人に線量計を付けてモニタリングしながら、重機オペレーターも放射能チェックを心掛けたとういうことでしたが、命がけの活動であったことは言うまでもありません。
新システムの構築として、警察活動における放射線測定と安全確保をおこなっており、モニタリング専門班を設け、各種活動の安全確保及び職員被ばくデータの管理に務める。
可動式除染装置導入による現場遺体除染システムの構築。検視数は1606体ということ。また、ご遺体とご家族等のDNAデータベースによる身元確認。
拾得物管理制度の構築と金庫開錠費用の県費対応化。
また、被災地域の治安対策としては、警戒警ら(パトロール)の強化と検挙に力を入れ、特派部隊を中心とした特別警備隊の編成を行っている。
パトカーや覆面パトによる警戒警ら及び検挙活動も強化。
20キロライン付近での24時間検問による警戒区域出入者のチェック。
犯罪抑止サポートとして、警備業協会やボランティア等の協力を得た犯罪抑止対策にも取組んでいる
また、避難者(所)対策として、家族からの安否確認依頼に伴う対応や、専従体制による各種相談の受理と組織的な早期対応し、行方不明者対策として、市町村が把握している避難者情報との突き合わせを行っている。現在の行方不明者数は211人。
警察官の被害として津波により、殉職4名、行方不明1名ということです。(心よりご冥福を申し上げますとともに行方不明者の発見をお祈りしたいと思います。)
[静岡県警の警察官の激励]
静岡県警から現在24名の職員が出向しており、福島県警本部と双葉警察署浪江分庁舎で活動している皆さんを激励いたしました。(画像は職員を激励する静岡県警本部の﨑田総務部長)
他人事とは思えず志願したという、正義感と思いやりの強い皆さん、御殿場や浜松、三島や熱海署からも出向していました。静岡県代表して出向されている皆さんを誇りに思うとともに心から敬意を表し、また、お体に十分に気を付けていただき今後の御活躍と安全、そして無事に職務を遂行され静岡県に戻っていただきたいと思います。
さて、今後の福島県警の主要課題として、
国、県、市町村及び関係機関との連携による各種対策の推進
○避難者の一時立入に伴う対策
○警戒区域及び計画的避難区域の見直しに伴う対策
○無人化する地域における警察活動と治安体制の整備
○緊急増員と組織改編による県内の治安体制の整備
○仮設住宅等の被災者支援対策
[福島県警察署川俣分庁社にて]
20マイクロシーベルト約1キロの地点、当時はすごく高く100マイクロシーベルトくらいはあった。
双葉町、大熊町では、警戒区域に指定されているため、町には人は全くいない状況でした。
福島第一原発から約1キロあたりの天望台を目指したのですが、立ち入り禁止区域になっていたため、福島第一原発の現在の全容を見ることはできませんでした。ただ、第一建屋の煙突 が飛び出て見ましたが、虚しさを感じてしまいました。第二原発の近くのスクリーニング会場に向かいました。
最後に双葉暑のの臨時庁舎を視察致しました。
この臨時庁舎は、先週オープンしたばかりと追うことで、まだ色々と落ち着かない状況下で視察させていただきましたが、副署長さん始め多くの皆様に丁重に対応くださいました。
道の駅を無償で借り、1年更新ということでした。空き巣防止のための警戒など、また、20キロ区域付近ということもあり、立ち入り出来ないことを知らずに来られるかたもなかにはいるということで、迂回していただく説明をするなど、業務は多いようです。
実際、福島第一原発の警戒区域に入ると、地震と津波被害が当時のままであり、痛ましい惨状が続きました。
多くの画像撮影を致しましたが、出来るだけ民家等の撮影は控え、被災後1年半以上が経過したものの、この地域の時間はあの被災当時で止まってしまっているのだなと感じました。
町に人が誰もいない状況という信じがたい光景でした。
津波で本来多くの住居のあったと思われる広大な沿岸は、草によって黄色い絨毯を広げたような光景に変わり、その光景は美しくさえ見え、この現状を改めて目の当たりにして時間の経過と共に風化してしまうことが恐ろしいことだということを改めて感じた次第です。
また、被災後、警戒区域となり立ち入りが禁止されたことにより、窃盗事件が多発したこと、空き巣やATM等が被害を受けたが、科学捜査も行い着実に検挙しているということでした。
全国の警察官の皆さんが今もなお昼夜を問わず、福島の安全確保のための活動を行ってくれています。
この視察に際し、福島県警察本部及び関係各位の皆様に深く感謝申し上げ、また、全国から支援に駆けつけている警察官と関係する皆様に対し心から敬意と感謝を表し被災地復興に向けての治安維持の更なる推進を祈念し御礼を申し上げます。