「学校施設の適正規模・適正配置(案)」についての答申
平成21年9月月30日付けで熱海市教育委員会より諮問を受けた「熱海市教育振興基本計(案)」に明示された重点事業26「学校施設の適正規模・適正配置(案)」について下記の通り熱海市教育振興審議会が熱海市教育委員会に答申されました。
各議員に配布された答申文書の内容を掲載します。
これまで熱海市の学校教育は、地域に立地する教育機関として特性を活かした学校運営を展開し、各学校(園)が特色ある教育環境を構築してきたと思います。
しかしながら、教育を取り巻く環境の変化は、今後、これまで以上に大きく、急速なものとなることが予測され、特に人口減少や少子高齢化の進行の伴い、将来的に複式学級が固定化していく学校の教育環境や学校運営面での問題が懸念されます。さらに厳しい財政状況のなかで、できるだけ早く効率的に学校施設の耐震化を図らなければならない状況にあります。
この状況に鑑み、将来にわたる学びの保障を維持・継続していくためには、「学校施設の適正規模・適正配置」に着手したことは時宜にかなった取り組みであると評価します。
諮問を受けた本審議会としては、教育委員会事務局から資料提示、説明を受けながら、熱海市の全体を見渡した広い見地、10年先を見通した中長期的な展望の上に立つことを心掛け、市内各地における地域の実情についての理解を深めながら、限られた時間のなかで鋭意、検討を重ねてきました。
その結果、審議会が何よりも重視したのは、学校(園)に通っている子どもたちの安全・安心を確保し、望ましい教育環境を創出していくということ」であります。
通学を含めた学校生活について大人社会が責任を持つことを前提に十分な検討がなされているか、本計画が真に将来の学校環境を見据えたものであるかについて議論した事を特記しておきます。
本計画案は、減少しつつある園児・児童・生徒の現状と展望、熱海市の厳しい財政状況下を踏まえて、将来の熱海を担う子どもたちを育てる環境をどのように構築するか、学校教育の質をどのように維持・向上していくかについて大胆に踏み込んだものであり、当審議会は熱海市にとって価値ある提案であることを認め、この計画案をもとに教育専門家の助言、タウンミーティングや意見書等により、市民の声を参考にして、具体化することが望ましいことであると判断しました。
尚、学校は住民にとって単に公共施設という性格だけでなく、地域のコミュニティーであり精神的な拠り所でもあります。教育委員会が策定・実施するにあたって、学校が地域で果たす役割や地域の事情にも十分配慮することは当然であり、本案に示された園児・児童・生徒や学級数の将来設計、学校施設の耐震化など様々な問題点を、保護者・地域住民と十分に協議し「子どもたちのために将来を見据えた良好な教育環境」をつくることに留意しながら官民協働で推進していくことが不可欠と考えます。
また、計画の策定、実施に向けては以下の要望事項を反映していただくよう要望するとともに、別紙付帯事項として示された審議委員の各意見についても十分に検討されるよう要望します。
1・スケジュールについては、地域の実情等を考慮しながら多少前後することがあってもよいとする。但し、耐震化等安全・安心の教育環境を確保する計画については、子どもたちの命の安全のためにも最優先に取り組むよう強く要望する。
2・学区変更については、今後も少子化傾向が進行していく状況下で、10年後という更に将来を見据えた構想として、多面的な視点から検討することを要望する。
3・幼児教育の重要性は、今後も一段と増すことが予想されることから、将来を見据え、熱海市独自の就学前児童の環境整備を積極的に推進するよう要望する。
4・実施に向けては、子供たちや関係者の不安を解消するために、学校(園)間における子どもたちや保護者の交流等をはじめ、十分な事前準備をすることを要望する。
5.学校施設の耐震化を始めとする安全・安心の確保と子どもたちや保護者の負担・不安を解消するための支援は欠かせないことから、熱海市行政として必要な予算について財源を措置し、教育投資を確保することを強く要望する。