平成24年7月17日・18日の1泊2日の日程で静岡県議会文教警察委員会の県内視察が実施されました。
今回は17日に浜松市北区の三ケ日青年の家、高速道路交通警察隊浜北分駐隊、静岡市駿河区の駿河総合高校、18日は焼津水産高校、県警航空隊の視察を行いました。
まず初めに三ケ日青年の家について、視察要旨をご報告致します。
報道等でご存じの方も多いと思いますが、2年前の6月18日に浜名湖で愛知県豊橋市の中学校の1年生ら20人乗りの手こぎボートが転覆し、当時12歳の生徒の尊い命が失われるという痛ましい事故が発生してしまいました。
ご報告の詳細を行う前にお亡くなりになった生徒に対し、謹んでご冥福をお祈りし、御家族に対しお悔やみを申し上げたいと思います。
今回の6月定例会の委員会にて指定管理者である事業者の1年延長という報告もあり、このことを受けて、改めて委員会として献花を捧げ、管理者に運営の状況や安全対策等を確認するため視察をすることとなりました。
まず、施設に到着し、三ケ日青年の家の職員、関係者とともにご逝去された生徒の御霊に対し文教警察委員会として献花をさせていただきました。
早速、館内の視察を行い、続いて運営状況及び事故防止対策を伺いました。
平成22年6月の事故以降、二度とこのようなことを起こさない体制の確立を目指し、静岡県教育委員会「県立青少年教育施設等安全対策委員会」及び二つの作業部会に参加し事故原因の究明と事故再発防止対策として、下記の対策とマニュアル作成に取り組んでいる。
・事故対策本部の設置
・安全対策委員会の設置
・事故に至る経緯の検証
・「償いの日」の制定
・安全対策マニュアルの作成
・緊急時対応マニュアルの作成
・各種プログラム指導マニュアルの作成
・各種プログラムガイドの作成
・関係機関との海洋プログラム合同救助訓練の実施
・運営スタッフの技量の見直し
木村副所長より、二度と事故が起こらないように上記の取り組みに加えて何を変えたのかについての説明がありました。
現在、三ケ日青年の家では事故以降海洋活動を休止しており、利用者の著しい状況の中で自然活動プログラムを中心にプログラムを行っていました。
いただいた資料では、事故以前は年間約42,000人の利用が、事故の年は約17,700人、23年は約23,800人となっていました。
改善された運営方針のなかで、教育目標として「協働・共生・友愛・奉仕」が掲げられ、その中の重点取組として「安全・安心・信頼」のため、公の教育施設として利用者や所員同志士の連携を密にすることに万全を期すとされている。
また、安全な運営に関する基準が示され、気象状況による活動可否条件の数値化や、乗船者の体力を考慮し活動基準を設定、気象情報収集の充実などが示されました。
緊急事態の発生に備えた体制については、マニュアル作成と同時に様々な状況を考え、救助訓練を実施するとされていました。
質疑応答の中で、事業者の指定管理の1年間の延長について、「心象が悪い、このイメージをどう払拭していくか」という委員の質問に、この事件を起こした事実から「簡単に逃げない」といった八谷所長の説明が非常に印象的でなんとか事故から2年経過する現在でも、この青年の家の再建に向けた気持ちが受け取れました。
カッターボート訓練の安全性や必要性については、海洋活動に精通した方から本来は一番安全で訓練に適したものであるというご意見をいただいており、そのことについては理解をしなくてはならないわけですが、ヨットなどとは違う点としてこのカッターボートについては指導者にプロは存在せず、その分、指導者や安全体制の確保がしっかり行われなければならないことを感じました。
最後に忘れてはならないことは、亡くなられた生徒のご家族ご親族の気持ちも、しっかり考えて、この青年の家の今後の運営を考えなくてはならない事は言うまでもないことです。
ちなみに、指定管理者の1年延長は、現在運輸安全委員会の勧告を受け、安全対策の構築作業を進めている段階にあり、安全確認が為されていない中で次期指定管理者を公募することは適切ではなく、次の指定管理者への確実な引き継ぎを行うための期間とするという説明を受けています。