令和7年1月22日から24日の日程で、会派の合同行政視察を実施いたしました。
初日は東広島市にて空き家バンクと空き家促進ネットワークを学ばせていただきました。
23日は、下関市にて、熱海市議会では取り組みが遅れている議会ICT化の取組について、学ばせていたきました。
歓迎のご挨拶 下関市議会 議長 香川昌則 様
御礼のご挨拶 熱海市民クラブ 私橋本一実がご挨拶させていただきました。
ご説明 下関市議会事務局 参事 中村純一郎 様
下関市議会事務局 主幹 高林賢次 様
下関市議会事務局 主任 飯田洋詩 様
視察概要について掲載いたします。
- タブレット端末試行開始までの経緯
平成28年 9月議運:導入を議運で検討することを改めて確認
平成28年12月議運:調達方法、導入時期を検討
平成29年12月定例会:試行開始
2.タブレット端末の導入目的
①資料等のペーパーレス化に伴う事務効率の上昇
②会議中の情報収集・検索ツール
③一般質問等で画像を流すことによる議員・執行部の理解度の上昇、議論の活性化
④画像・映像による市民への説明能力の強化
⑤議員・事務局・執行部間の連絡機能の強化
- 議会スケジュールの共有化による議員活動の円滑化
3.タブレット端末導入検討プロジェクトチーム(平成29年6月立上げ)
- 各会派から1名又は2名、計7名
- 検討の結果、操作性の良さ、セキュリティの高さから、アイパッドプロ10.5又は12.9インチを推奨することとした。
- 34名の議員中、ほとんどの議員が私費で購入しているところ。
- タブレット端末等の持ち込み及び使用に係る試行の開始(上記1詳細)
- 平成29年12月定例会から試行開始
- 議会側のみ・定例会・委員会での端末の持ち込みを可能とした。
- 会議資料等の電子データを各議員及び議会事務局で共有するため、無料のクラウドサービス(DropBox)と無料の会議用システム(SideBooks)を利用。
- 平成30年度予算可決により、有料の会議用システム導入に向け、引き続き当該プロジェクトチームによる検討を開始。
- 富士ソフトのモアノート、東京インタープレイ㈱のSideBooks の2社によるトライアルを実施、結果、当プロジェクトチーム内で議会運営に特化しており使い易いと高評価であった「SideBooks」に決定。
5.検討結果の報告(平成30年5月臨時会前の議運にて)
- 議運で協議し「SideBooks」導入を正式決定
6.条件付き一般競争入札により業者決定(平成30年7月)
- 事務局・議員による操作研修会、使用基準の作成
8.「SideBooks」を使用した議会運営を開始(平成30年9月定例会から)、
現在に至る。
- 平成30年9月定例会から議場内2カ所のディスプレイに会議用システムに格納した資料を表示しながら質問することを開始(当時は端末使用を各会派1名に限定していたが、現在は対象を全議員としている。)
- 令和6年12月定例会の一般質問では質問者25名中18名の議員が端末を使用して質問を行った。
9.執行部の端末持ち込み(令和1年6月定例会から)
- 執行部からの申出により、執行部の定例会・委員会への端末持ち込み開始
10.検討期間
- 平成29年6月から本格的に検討を開始、端末導入まで約5か月、会議で使用するまで約7か月間。
11.導入経費及び運用経費
- まず、操作検証用として事務局用(4万円×2台)購入
- その後、議員の購入に合わせ、常任委員会担当書記用4台、庶務課・議事課用2台、計6台をリース(月8千円)で購入。
- 議員は、使用割合(議員活動、議会活動、政務活動、私事)に応じて各会派において按分割合を設定。按分割合に基づき事務局へ請求してもらっている。私事の部分は按分から差し引く扱い。
- 「SideBooks」使用料(公費導入扱い)
・イニシャルコスト
初期設定8万円、管理者講習8万円、使用者(議員)講習8万円
・ランニングコスト
基本使用料(1ギガ込み)2万円、50ID付与1万円、10ギガ追加4万5千円、計7万5千円(税込みで8万2,500円)
12.端末導入を公費購入とするか否かの検討
- 市の備品となることから、議事堂外への持出し、破損時の対応、予算要求が必要となることから、導入に時間がかかるであろうという意見があった。
私費購入であれば使用は自己責任において自由、予算要求なく即開始できる。政務活動費の充当も可能。ただし、按分割合をどのように設定するかの問題があるとの意見があった。
- 今後、新たに購入する端末は原則、議会活動・政務活動に使用することとし、そのため、端末本体をこれら活動に使用していることを確認するための台帳に登録し、本体・付属品購入費、契約手数料、通信料は政務活動費を100%充当できることとした。ただし、それ以外にも使用する場合は使用頻度に合わせて按分することした。
なお、端末を私費で購入し台帳に登録しない場合は、購入費・月々経費は政務活動費を充当できない、とした。
13.不慣れな議員への対応
- 各会派内で教え合う。
14.導入後の効果
- 用紙代の減少等、効果は検証していないが、席上配布資料の印刷・資料の差替え等、事務局職員の負担が軽減された。データの格納も簡単。
- 議員へ配布される用紙は確実に減少。
15.課題
- タブレットを使用しての一般質問について、一般質問とは関係ない用途での使用、資料をめくるだけ、通告外の質問への展開など、質問を補完する主旨から外れることが散見されルール作りが必要となり、要綱を制定し令和3年1月1日より施行。
16.事前質問への回答
Q3 事例研究やツール及びベンダー選定など各マイルストーンでどの程度の時間が掛かり、リリース(議会でのタブレット利用)までトータルでどれくらいの時間と費用を要したか。また、当初の予定通りに進んだのか。
→青森市、八戸市、秋田市へ視察を実施。
→トライアルは無料であった。
Q4 ペーパーレス化に関する運用上のルールや業務フローを定めているか。
→別添のとおり
Q5 ペーパーレス化で生じた課題や問題点・反省点はあったか(議員側・事務局側両者の観点で。)。
→当局側もsidebook使用し、当局側が使用する資料を議員側で共有することができている。
Q6 議会でのICT化を進めるに当たっては市役所内でのペーパーレス化、電子化も両輪として必要と思うが、どの程度進んでいるか。(議員に説明する各種文書だけなのか、ひいては市民が利用・提出する文書も電子申請が可能なのか、など)
→電子化しているデータは、事務局作成の議事日程・会議日程・議案付託表等。
→紙と併用しているデータは、通告一覧表、議案、議案参考資料、予算、決算(委員会資料はデータか紙かを統一していない)。
Q7 特に予算面で市民から反対意見は上がっていたか。上がっていたのなら市民へはどのように説明を行ったのか。
→特になし
17.主な当日質問・意見
- 議案・予算・決算は紙と併用している。
- 事務局の負担は減っている。タブレット導入は執行部のICT化を見ても時
代の流れと思う。
- 政務活動費は1人年間60万円(月5万円)
- 事務局へ請求する按分割合は会派に委ねている。情報公開請求があったときに説明できるように注意してもらっている。
- 全国的に公費導入の市町が圧倒的に多く、当市のような私費導入はレアケース。
- タブレットを使用して質問する際、議場に投影する写真や動画は、国の資料、データ、状況写真などが多い。
- 映像が停止するトラブル等はこれまでなかった。
- データの収受について議会と執行部との話し合いの場は設けていない。
- 過去の資料も格納されているため議員活動に使用するときに便利。
- 4年間の資料が格納されている、10ギガで足りている。
- 試行の際、無料クラウドサービス(DropBox)と無料の会議用システム(SideBooks)の利用であったが、本格稼働で有料のSideBooksに変更した理由は、容量と操作性。試行時はそれぞれの設定も大変であった。
- YouTubeの発信等に関して、広報部会長が動画を撮影しているが、それを加工して使用したいと考えている。これを事務局が作成するとなると事務的に難しい。
- 市民向けにYouTube発信できたらと思っているが、編集が課題。一度始めたら途中で止めにくい、継続の難しさがある。
- 議場における映像配信について特段、会議規則は改正していない。
今回の視察にあたり、下関市議会の皆様には大変お世話になりました。
心から厚く感謝申し上げます。