はじめに、ご入院された天皇陛下の手術が無事終了いたしました。早期のご回復をこころからお祈りいたします。
平成24年2月16日~18日の2泊3日にて静岡県議会の天竜浜名湖鉄道活性化促進議員連盟の県外視察が行われ参加致しました。
その視察報告をさせていただきます。(※画像は、画像上をクリックすると全て拡大されます。)
県内の鉄道についてもまだまだ勉強が足りないと感じているわけですが、折角の機会ですので視察に参加し、天竜浜名湖鉄道及び肥薩オレンジ鉄道他の勉強をさせていただきました。
しかし、日曜日に予定があり、皆さんよりも一足先に1泊2日の日程で帰宅するせわしない視察となりましたが、しっかり学び有意義な視察でした。
普段乗ることのない・・というか議員活動などでのんびりゆっくりといった余裕のない状況もありますが、今回視察とはいえ九州の鉄道の状況を見させていただきながらのどかな景観や雄大な眺望などを満喫させていただき自らも活性化させていただきました。
さて、まず、静岡空港から鹿児島空港に着くと鹿児島県議会バスがお迎えに来てくださっており、すぐに鹿児島県議会へ移動し、早めに県議会へ到着、そのため議長室で金子万寿夫議長さんと懇談の時間が持てました。
今回の静岡県からの一行は浜松市天竜区の中谷県議が会長を務め、我が会派の野澤会長が副会長、阿部県議が事務局長ということもあって曳田県議、田内県議、田形県議と共に議員は9名、天浜線サポータ―ズクラブの田澤さんと県文化観光部から池谷交流局長及び大倉交通政策課班長が参加し12名でお邪魔いたしました。
また、鹿児島県議会の肥薩オレンジ鉄道活性化議員連盟の皆さんは中村会長代行、金子議長を含め24名もの議員の皆様と肥薩オレンジ鉄道の古木社長様、新名主総務企画班長様、また県行政側から県企画部交通政策課長の内海様と県企画部交通政策課参事の松元様、県議会事務局総務課長補佐の中村様にご出席いただき私たちの受け入れをしていただきました。
意見交換会では、両会長からご挨拶があり、昨今の厳しい経済状況の中において、地域のインフラでもある鉄道を守っていくことが私たちの使命といった内容の挨拶があり、お互いの鉄道の現状の説明が担当者から行われました。
天竜浜名湖鉄道と肥薩オレンジ鉄道は「レール交流協定」を平成222月18日に締結しており、以降経営改善や利用者拡大で協力、情報交換などの交流を深めてきています。
天竜浜名湖鉄道促進議員連盟は当初平成21年9月に掛川以西選出の超党派の県議会有志23名により「天竜浜名湖鉄道活性化促進懇話会」が設立され、他県の鉄道の視察等の活動を行ってきており、平成23年度から懇話会を議員連盟に発展させ現在48名の議員有志により、平成23年7月6日に「天竜浜名湖鉄道活性化促進議員連盟」を設立、先般の川下りの事故等がありましたが、この地域に根付いている鉄道の応援団として活動に取り組んでいるところです。
肥薩オレンジ鉄道は、平成14年10月31日に設立、開業は平成16年3月31日、本社所在地は熊本県八代市、資本金は15億6千万円であり、出資の約8割を鹿児島県と熊本県で持ち、その他の約1割を近隣市町、日本貨物鉄道株式会社が約6%といった構成で第3セクターが条件でスタートしたということです。
当初は9年間の黒字計画ということでしたが、2年で既に赤字となり、基金を活用してきたものの、基金も枯渇してきていて大変厳しい現状ということを伺いました。
人口減少やモータリゼーションといった背景の中、利用状況は平成17年度及び平成18年度は輸送人員が前年度との比較で5%、運賃収入がやく10%減少したが、平成19年度は、輸送人員、運賃収入ともに初めて運賃収入を上回った。
平成20年度以降は、輸送人員が3~5%減、運賃収入が3~7%減で推移している。
また、平成22年度と開業初年度(平成16年度)を比較してみると輸送人員・運賃収入ともに7年間で約20%減収している状況。
しかし、151万人の年間利用が22年度でも見られ、必要な交通基盤であることは言うまでもない、特に7割が高校生の通学に使われている。
経営状況では16年に8550万円の営業黒字以降平成17年度から減価償却前赤字を計上し、平成22年度は車両全般検査(平成23年度まで)の実施に伴い大幅な費用増となった結果、約3億3500万円の減価償却前赤字を計上している。車両検査はちなみに19両行ったということでした。
公的支援については鹿児島県が平成20年から経営安定基金を財源として対応しており、また熊本県は鹿児島県の様な基金が無いため県・沿線市町(2市2町)の一般財源から補助で対応しているといいます。
改善に向けた取り組み状況は、「肥薩オレンジ鉄道中期経営改善計画」を策定し、また20年3月より鹿児島市・熊本市への直通快速列車の運行開始、20年9月には「肥薩オレンジ鉄道沿線地域公共交通活性化協議会を設置、21年5月には肥薩オレンジ鉄道沿線地域公共交通活性化協議会で「肥薩オレンジ鉄道再生プラン」を策定。また22年2月に「レール交流協定」天竜浜名湖鉄道との締結も挙げられている。
22年9月からは台湾・韓国の誘客が開始され、23年8月27日に1000人を突破した。東日本大震災の影響はほとんど無いということを伺いました。
23年9月26日鹿児島県議会肥薩オレンジ鉄道活性化促進議員連盟を設立。
1.沿線住民等のマイレールへの取り組み
①沿線住民等のマイレールへの取り組み
絵画コンテストの実施や自治会及び各種団体の会合等における利用の呼びかけや乗車のお願チラシの沿線家庭へのポスティング
②NPO団体との連携強化
利用促進イベント実施やウォーキングマップ作製支援、駅業務の委託
③おれんじ友の会の加入促進
平成19年から3年会委員も創設し、募集を強化
④新たなオーナー制度導入
法令等に基づく車両全般検査について、その一部を負担するオーナー制度「車両一口オーナー」を導入
2.営業体制の強化(平成21年10月営業部設置)
(1)アテンダント「おれんじレディー」の導入(ふるさと雇用再生特別基金事業を活用)
(2)沿線外 (国内・東アジア)
大口・小口団体獲得の取組
(3)その他 各種イベント等の実施・ポスターチラシの充実・ホームページの再構築・インターネットショッピングサイトの開設、オリジナルグッズの販売・開発等
3.利便性向上に向けたダイヤ等の見直し
今後の課題については、①プロパー化・要員の確保 ②老朽化した施設の整備計画が挙げられていました。
※平成23年度 「地域公共交通バリア解消促進等事業」を活用(国1/3)※約6,100万円交付が決定
我が県の天浜線については改めご報告いたします。
この意見交換会では肥薩オレンジ鉄道の古木社長様によるこの鉄道の必要性や改善計画などの熱い想いもお聞かせいただきました。
大変参考になりました。
画像は意見交換会の様子と鹿児島県議会本会議場を撮影させていただきました。大変立派な本会議場でした。
また、2日目の鹿児島中央駅から吉松駅までの「特急はやとの風2号」、肥薩線に乗り換え吉松駅から人吉駅までの様子を眺望も含めてUP致しました。
人吉駅ではくま川鉄道本社に伺い鉄道活性化の取り組みを伺いました。
『幸福へのきっぷ』人吉駅
くま川鉄道本社にて社長さんと鉄道部長さんからくま川鉄道運営状況についいてお話を伺いました。
6億円ほどの基金が当初はあったが、現在基金残高は約1億円となり、年間6千万円の赤字が出ている状況。
鉄道の固定費は非常に負担が重く県の出資もないということでした。
各市町村にて応分の負担をしてもらっており、市町村から赤字減らして欲しいという要望が来ている状況です。
現在の社員状況ついていては、昔の国鉄OBがほとんどで63歳の定年制を取り入れているが65歳前後が多く、JR九州からもう補充できないと言われたとのことです。
現在、鉄道部長の前田さんが中心となり運転手の若手育成を行っており、運転手は国家試験があり、地元の高校の5高校の中から毎年3人づつ採用して、一人は女性も採用して車掌などの業務に配置しているということでした。
社長さんは廃線になるローカル線も多いが駅がなくなるとまちの中心がなくなってしまう。何とか市町村に理解をしていただき、駅残して行きたい。という思いを語ってくださいました。
現在、8車両あるが23年経過し老朽化しつつあり、維持費や部品などがなくなって来ていることから、5両の入れ替えを考えている。
5両で約7億円かかるということです。
東日本大震災もあり早めに取り組まないとできなくなる恐れもあり決断し、観光資源がそんなに沢山あるわけではないので知恵を出し合い観光開発に努めている。第一に安全運行、第二に良質で安定運行、第三に観光と考えているという。
ただ今まで橋梁などの維持管理をほとんど手がつけられておらず、国土交通省の指示もあり、昨年から4000万円年間で今年も4000万円で整備を進める予定で、議会には怒られたが、今やらないとという思いで説明し理解をしてもらえたという。
九州弁で温もりをかんじる社長さんの説明は、地元のことをしっかり考えており、高校生たちにも、駅の必要性や、地域を離れても、戻って来た時に駅があったほうが若者たちも戻りやすいだろうという事で地元にも理解を得ていかれ来ていていると述べられ、また、とてもお話全般に共感できました。
20年度に比べ21年度22年度と定期通勤が増えている数値が見受けられましたが、パスポートくという65歳以上の方向けの3000円で乗り放題プランの取り組みの成果であるという。からの車両を走らせるよりも、、という考えから始まられたと言います。
大変あたたかさというか温もりを感じる熊本弁で説明をしてくださった社長さんでしたが、私は中座して、これから熱海に戻るのでした。
今回の2日間の視察にあたり、鹿児島県議会の皆様、鹿児島県当局の皆様、また関係者の皆様、そして静岡県当局の皆様、大変お世話になりました。心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
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