◎観光資源活用促進特別委員会県外視察報告 パート3『知床世界遺産センター・北海道オホーツク総合振興局』
平成23年9月7日から9日までの2泊3日で静岡県議会観光資源活用促進特別委員会の県外視察で北海道観光状況を視察致しました。
このパート3では知床世界遺産センターと北海道オホーツク総合振興局の視察状況をご報告致します。
知床世界遺産センターは北海道斜里町にあり、平成19年7月の世界遺産登録を受け、平成21年4月に環境省が設置。知床の自然の素晴らしさと、利用にあたって守るべきルールやマナーを来訪者に伝えるほか、見どころや最新情報などを提供しています。
知床国立公園には一年間で240万人を超える利用者が訪れ、原生自然の静寂性が奪われてしまう問題や観光収容力を超えた利用による荒廃などが課題として挙げられていました。
その一方で高い原始性の自然や野生動物とのふれあいを求めるニーズは増大しており、利用の多様化における課題が発生しているということでした。
野生動物との距離感の変化では野生動物への餌付け、人馴れによる共存の危機なども課題とされていました。
観光利用面での課題への対応は公園入り口部にビジターセンター等の整備、1983年羅臼ビジターセンター開館、1988年知床自然センター開館。
カムイワッカ地域でのマイカー規制導入。
国立公園内におけるヒグマ対策。1995年ヒグマ出没により初めて知床5湖が閉鎖される。
画像では知床五湖のひとつ一の湖まで高架木道で約800メートルの距離を歩いてみましたが、雄大な自然の中に整備された高架木道、電流の流れる有刺鉄線が張りめぐらされていて、ヒグマ対策ということでしたが、天気も良く出迎えてくれたのは親子の鹿でした。四季折々の季節によって景色が変わる想像ができましたが、きっと素晴らしい景色でしょう。
話を戻して、知床世界遺産センターですが年間利用者は約10万人、併設されている道の駅もあって、その流れで来られる方もいるということでした。
この施設の目的は知床世界遺産の素晴らしさと利用にあたって守るべきルール・マナーを伝えること。
知床世界遺産の見どころや自然のリアルタイムの情報についてお知らせすること。
知床世界遺産の管理について最新の情報を提供。
実物大の写真や動物の痕跡の模型なども展示されています。
また、1時間に1回を基本にレクチャー映像を上映していました。
この遺産センターの管理運営については、大規模な施設の整備・補修は環境省。
職員の配置は北海道。運営費の負担を斜里町が行い、施設の運営管理を自然公園財団が行っています。
今後の課題は、施設の課題が伝わっているのか。常設展示を(パネルと目的)をみてもらえるような工夫。
インフォメーション人員削減に対する対策(来年度から北海道からの人員がカットされる)
広報・・遺産センターの認知度がまだまだ低い。
地域とのつながり等も課題として挙げられていました。
続いて最終日に視察しました『北海道オホーツク総合振興局』の取り組みについて報告を致します。
北海道オホーツク総合振興局は北海道網走市にあり平成20年に新・北海道総合計画に基づく「オホーツク連携地域政策展開方針」を策定し、重点プロジェクトとして、地域資源を生かした新たな観光の魅力づくりとプロモーション活動を推進している。また、オホーツク「食」の地域ブランドの形成・確立に向けた取り組みを進めています。
まずこの北海道オホーツク総合振興局を訪問の際に総合振興局の中村副局長に来庁歓迎のご挨拶を頂き、説明は総合振興局産業振興部商工労働観光課観光室の丹羽係長が務めてくださいました。
まず、北海道における観光入込客数ですが、平成11年度のピーク時に5,149万人を記録し、その後は不況等で平成21年度には4,682万人となっています。
オホーツク圏域では平成11年度が1,198万人が21年度では810万人となり67.6%、つまり約3割減ということでありました。
平成21年度の8,099万から高速の無料化等の影響もあり、平成22年度は前年比105.8%と若干増になっていることが分かりました。
館内における観光入込客数を見ると、やはり11・12・1月が閑散期ですが、2月は流氷の効果があって増加に転じていることが分かります。
北海道における宿泊客数は平成11年度が3,628万人、平成21年度は3,092万人でオホーツクを見てみても平成11年度が249万人、平成21年度は181万人で72.7%という数値でした。
訪日外国人来道者数の推移をみると平成11年度で203,900人が平成21年度では675,350人と3倍以上の伸びを示していました。
台湾からの来道客数が突出しており、現在では依然台湾が一番ではあるものの下降気味で、続いて韓国、香港、中国、シンガポールの順でした。その中でも中国が急激な伸びをここ数年示していました。
交通事情の説明があり道内にまだ新幹線が整備されていないこともあり、石北本線が高速化されていないために、函館とほぼ同距離の北見は函館よりも1時間20分も時間がかかるなど、主な移動手段が飛行機となり、航空運賃の比較をすると女満別・紋別は割高であることも、課題として捉えているということでした。
連携展開方針は、「新・北海道総合計画」(平成20年から概ね10年間)を推進する手だてのひとつとして、地域の特性に応じた施策を展開するため、連携地域(6地域)ごとに各振興局が策定し、地域の多様な主体が共有する「地域づくりの方向」を示すものとしています。
地域重点プロジェクトの一例ではオホーツク・エリア・アイデンティティ-(オホーツクAI)の推進が紹介され、地域の一体感の醸成と浸透を目指す取り組み・企業イメージの統合を図るCI(コーポレーション・アイデンティティ-)を参考にするとのことであり、“オホーツク”と聞けば・・・行ってみたい!住んでみたい!、“オホーツク”とつけば・・・買ってみたい!食べてみたい!、“オホーツク”に暮らしていることを自慢したい!ということでイメージアップを図りこの地域の素晴らしさを知っていただくための各種取組を展開するということです。
具体的取り組みは、3つの柱インナーコミュニケーション・プロモ-ション・『オホーツク流氷トラスト運動』を連動させるということでした。『オホーツク流氷トラスト運動』とは減少が続いているオホーツク地域の象徴「流氷」の保護をキーワードに、CO2 削減など地球温暖化防止に向けた環境保全活動を展開するものです。
またオホーツクのシンボルマーク(記念撮影の画像参照)【つくつくオホーツクん】や北海道と「オホーツク」のラインを「オホーツクブルー」で表現したロゴマークなど、オホーツク地域の個人や企業、団体が無料で使用できる、地域限定のシンボルマークとして制定するなどの取り組みが行われています。
静岡県のふじのくに宣言「住んでよし 訪れてよし」「生んでよし 育ててよし」「学んでよし 働いてよし」の理想郷を目指した考えと似ている部分もあり、地域を愛する共通の思いを感じました。
観光を取り巻く課題として、観光客動態等のデータ不足。団体→個人旅行にシフト旅行目的多様化。
観光地間の距離が長く移動時間が長い。個々の観光地の滞在時間が短い。旅行マーケットの縮小、競争激化。
ホスピタリティの取り組みの遅れ。
国民の余暇活動の多様化。観光入込客数の大幅な増加は期待できない。訪日外国人観光客は全道的には堅調な伸び、しかし、道央圏にシフト。
地理的要因(札幌圏から遠い)交通事情。道東地域=費用や時間の面でコスト高等が挙げられ、
そして、取り組みの方向性は観光マーケティング(データ)活用・ターゲットを絞ったプロモーション展開・観光地間の連携による滞在力のある観光地づくりへの転換など、また、優位性を活かした観光地づくりの推進・リピーターの確保・観光消費額の拡大に着目した持続発展可能な観光地づくりが挙げられています。
新たな観光客層として、訪日外国人の誘客促進・道東空港路線の利便性の向上・2次交通手段の確保など交通事情の改善が求められています。
総合振興局の平成23年の主な事業は①札幌圏を対象とした観光と物産PR②着地情報網の整備③滞在エリアの整備促進④外国人観光客の受入態勢整備⑤道東4振興局の取り組み
東日本大震災における管内の影響は道全体で旅館数69件で261,579人、このうち道内が66,850人、道外は66,850人、海外は79,037人と示されていました。主な渡航制限は香港が渡航注意勧告など、韓国以外の香港・台湾・中国・シンガポール注意や勧告が出されたようでした。
また東日本大震災における総合振興局の取り組みは①観光業種経営状況調査 ②東日本大震災緊急経営相談会の開催。③北見工業大学留学生に対
するオホーツク観光PRなどでした。
画像の最後はオホーツクに海に沈む夕日、、、また見に来たいと思うほど素晴らしい感動を与えてくれました。
この視察にあたり、北海道の各市町の関係者の皆様、また、静岡県文化・観光部、議会事務局及び関係者の皆様に心から感謝と御礼申し上げ、県議会本会議及び委員会の資料及び、静岡県発展のために活用させていただくことをお約束し、視察報告といたします。ありがとうございました。