「双柿舎(そうししゃ)」と言えば熱海市民なら誰もが知っている坪内逍遥先生が晩年過ごした住居です。
2月28日、逍遥先生のご命日にあたるこの日、熱海起雲閣音楽サロンにて「第44回逍遥忌記念祭」が厳かに開催されました。
式典では田辺国治副市長、西島幹人熱海稲門会会長、岡室美奈子早大坪内博士記念演劇博物館館長がお慕いのことばを奉読しました。
私も僭越ながら来賓としてご挨拶させていただける機会をいただき、梅香るこの時期に、熱海梅園に隣接している沢田政綱記念館に展示してある政綱先生の優れた所蔵作品群のなかでも、とりわけ、印象深いのが「隠者」と題された、高さ2メートルもあろうかという彫刻作品です。これは、走り湯に縁の深い、「役の行者」の彫刻ですが、圧倒的な迫力とその内面にある「悟り」のようなものは、私だけでなく、見る人の心を惹きつけて離しません。
この大作、実は、政広先生が、逍遥先生が書き上げた戯曲「役の行者」にインスパイアされて制作なさったと聞き及んでおり、つまり、逍遥先生の素晴らしい作品を政綱先生が表現した名作というわけです。
このような作品を広く国内外に周知するのも私たちの使命でもあります.
というわけで、挨拶に続いて、坪内逍遥のうた保存会の皆様が「としのはじめ」「開いた開いた」などを披露してくださり、また、出席者全員で逍遥先生が作詞した「熱海市歌」を斉唱しました。