8月19日、県庁本館4階の県議会特別会議室において平成26年度静岡県雇用創造県民会議本部会議が開催され、傍聴させていただきました。
この会議は、県内産官学の代表者で構成されており、今回で3年間の会議を終えて閉会することになり、この日はその総括がおこなわれました。
まず、静岡県雇用創造アクションプランの総括評価等について説明がおこなわれ、現在の雇用をめぐる状況報告では、完全失業者数は5万6千人(平成26年1月~3月期)となりピーク時の8万9千人(平成21年7月~9月期)から3万3千人減少し、リーマンショック前とほぼ同水準まで改善してきている。
一方、事務的職業や福祉関連職業などの間で、依然として雇用のミスマッチが見られ、また、働く世代の東京圏への流出や人手不足、人口減少社会が本格化する中での生産年齢人口の低下への対応など、新たな課題が生じている。
と報告がありました。
また、資料では、県内の働く場の減少、働く世代の東京圏等への人口流出について、静岡県の転出超過数のグラフが示され、平成25年度の合計は△6.829人となり、全国ワースト2位となっています。
特に20代から54歳までの働く世代の流出が著しいことが窺えます。
静岡県雇用創造アクションプランの総括評価書の概要(計画期間 平成23年~平成24年度)
リーマンショック後の完全失業率者数の急増に対する緊急的な対策として、平成25年度までの3万人の新たな雇用創造を目的とした「雇用創造アクションプラン」を策定し、官民が連携・協力して3か年の集中的な取組を推進してきた。
全体指標の状況
①完全失業者数
平成26年1月~3月期は、5万6千人となり、ほぼ雇用悪化前の水準(平成19年平均5万5千人)まで改善。
②有効求人倍率
平成26年6月は1.08倍となり、プラン策定時の0.52倍(平成22年度平均)と比べ0.56ポイント改善
出席者による意見交換では、下記の意見が出されました。主なものを記載します。
・移転企業についての反省 オーダーメイドでの支援策の検討を。
・ポスト東京について国政での取組 静岡は首都圏の隣県、若い人にとっての東京の魅力を受け入れ、調和の必要あるのでは。目黒の就職サポートセンターUIターン施策良いが、専任職員1名。マザーズハローワークの取組良い。拡張すべき。
・新卒者と中小企業とのミスマッチの解消。
・大学生との交流 講演等実施 若手従業員の定着 高校生向けの見学ツアーを計画中。
・円安が拍車かけている。農業経営の再構築新規就労者300人くらい。JAで定年後の再雇用制度 浜松マーケット雇用確保
・県産材の活用の効果出ている。機会を使いこなせるオペレーター育てること。外国産でなく国内県産合板で雇用生まれる。
・沿岸漁業が問題。生活の安定。漁業は観光とも繋がっている。
・介護職員 2025年には65歳が75歳になり益々必要性高くなる。処遇改善離職防止策、何とか乗り越えた。全国16.6%静岡15.5%歯止めかかったことは確か。介護は3Kだったがかなり理解進んだ。
・医療関係では医学生に対する奨学資金の貸与は全国的に見ても最大規模。気になるのは平成28年から専門医制度が変わること。石研修制度が変わったときに課題があった。県に合わせたキャリアパスをどう考慮していくか。看護師不足依然解消されていない。子どもが小学校に上がると見てもらえなくなるので辞めてしまう傾向ある。預けるところ必要。
・正規雇用4割、非正規雇用6割①人間関係(声かけ運動実施中)相談件数はリーマン善後は1200件くらい。現在は800件台にとどまっている。
・高校 22年から回復、25年は19年度と同じまでに回復。25年度では県内5200人の高校生が就職希望。14歳から24歳の人口流出に責任を感じる。県の政策はありがたかった。
・ふじのくに地域大学コンソーシアム 大学も東京に一極集中している。県内の地元企業の情報が、学生にきちんと届いていない状況がある。
・伊豆の観光80% 社会保険失業保険企業が50%負担 なので正規からパートに移行している。
・東京から人を呼び込む逆転の発想必要。1ヶ月で20日間FM放送を都内でやって宣伝している。地域特性活かす。
・在宅医療の推進。8割以上の人が病院で亡くなる。健康長寿。介護と医療の連携がまだダメ。
・中小企業の海外進出支援は、本体の地元企業が元気になるので必要。1.5を。1を超える安定的に。
【今後の雇用関連施策の取組】
(1)総合計画「後期アクションプラン」に基づく雇用施策の推進
・雇用のミスマッチへの対応をはじめ、若者や女性、高齢者、障害のある方の雇用環境の改善など、継続したきめ細かな雇用施策の推進が必要。
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・本年4月からスタートした総合計画「後期アクションプラン」の重点取組として、今後4年間全庁横断で総力を挙げて雇用施策を推進。
(2)新たな課題への的確な対応
・働く世代の東京圏への流出や人手不足、人口減少社会が本格化する中での生産年齢人口の低下への対応など、本県が直面する新たな課題への官民一丸となった的確な対応が必要。
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・本年3月に設置した「静岡県産業成長戦略会議」において、官民一体となった産業成長戦略を推進。また、本年度内に、産業界、労働界、教育界、市町など、県内の各界・各層の代表者で構成する「人口減少対策県民会議」を新たに立ち上げ、オール静岡で取組を推進。
ということで、この会議は発展的に解消され、今後は、静岡県産業成長戦略会議と人口減少対策県民会議に役割が引き継がれることになりました。