平成26年11月25日、静岡県議会厚生委員会正副委員長にてハンセン病療養所訪問をさせていただきました。
今回の訪問にあたり、まず、県議会厚生委員会正副委員長による訪問は昭和33年から実施されていて、最近では本県出身者の多い県内療養所(駿河療養所・神山復生病院)と東京の多摩全生園を毎年交互に訪問していましたが、平成21年からは連続で駿河療養所と神山復生病院を訪問しています。
平成22年6月24日に天皇、皇后両陛下が初めて訪問をしています。
私は昨年2月に所属会派の政調会メンバーと共に駿河療養所を訪問していますので、今回で駿河療養所は2度目、神山復生病院は初めての訪問となります。
今回の訪問は、委員長副委員長、そして地元の県議と県健康福祉部及び議会事務局の計11名で訪問させていただきました。
訪問の報告の前に、ハンセン病について記します。
ハンセン病とは、らい菌による慢性の感染症であるが極めて感染力が弱く、また、仮に感染したとしても発症することはまれです。らい菌は末梢神経と皮膚をおかすため、適切な治療方法がなかった時代には後遺症(神経麻ひ、視力障害、手足や顔面の変形など)を残すことも多かったのですが、現在では化学療法等の進歩により発症したとしても早期治療によって後遺症を残すことなく治癒することができます。
現在の日本では、新規の患者は10人にも満たない状況であり、高齢者や外国籍の方がほとんどで、現在の日本では感染の恐れはほとんどないと言われています。
ハンセン病患者への偏見と差別は想像を絶するもので、その歴史は強制隔離(患者狩り)、患者の子どもを堕胎させる等の迫害を受けてきています。
ハンセン病患者を強制的に隔離する合理的理由が無くなった以降も、国は、この政策を継続したことにより、世間に対しハンセン病は恐い病気であるとの誤った認識や誤解を植えつけてしまいました。
このため、入所者からは、このようなハンセン病の歴史を二度と繰り返さないため後世に伝えたいという要望があります。
国の大きな動きは、平成20年6月に「ハンセン病問題の解決に関する法律(ハンセン病問題基本法)」が可決し平成21年4月から施行されています。
県の対応としては、らい予防法の中で、国の政策として患者を療養所に送致する業務を担ったという歴史的経過があり、平成13年6月及び平成14年1月に知事が療養所を訪問し謝罪しています。
また、平成13年7月10日、県議会にてハンセン病問題の早期解決に関する決議を行っています。
そのような経緯から、本県では、ハンセン病問題基本法の趣旨を踏まえ、入所者等の福祉の増進を図ることとし、入所者里帰り事や療養所で実施する健康増進事業への支援等、訪問事業等を行っており、今回の訪問もその一環として行われました。
まずはじめに訪問した神山復生病院の前に神山平石講堂墓地へ行き献花と礼拝をさせていただき、それから神山復生病院に移動いたしました。
神山復生病院では、静岡県人会の大川会長さんと理事長さんはじめ病院の事務局の皆様と共に和やかに懇談させていただきました。
大川会長さんは、はじめに「社会では色々なことがあってイスラム教のことで、新聞を読んでとても心配で、宗教というものは本来そういうものではないと思うので」と話してくださいました。また、「こんな大雨の中いらしていただき、またお墓に献花をしていただきありがとうございました」と歓迎の言葉をいただきました。
委員長として私がご挨拶させていただき、厚生委員会の宮城副委員長から図書カ―ドとお茶が、鳥澤副委員長からは季節の果物ということで本県特産のミカンの目録を贈呈いたしました。
会長さんは1940年に入所され、「今復生にはらいの患者さんは7名しかいない。亡くなった方の夢ばかり見ます。長い間に大勢の方が亡くなりました」「私はここに74年にいて80歳になりました。ゴルフが好きで健康を維持しています。その当時はハンセン病の方たちだけでやってましたが、今は、職員の方たちとやっている。委員長杯や理事長杯をやって競技で楽しんでいます」
「敬老の日にいただく入浴券ですが、あまり私たちは普通の方たちと入ることができないので」ということも聞かせていただき、このことについては、どうやら市で贈呈しているようですので地元県議さん達から調整していただくこととしたいと思います。
また、大川会長が私たちに素晴らしい歌声を披露してくださいました。
土井晩翠先生作の院歌とサルべジーノの二曲をご披露いただいたのですがあまりに張りと艶のあるきれいな素晴らしい歌声にただただ驚き感動致しました。
続いて午後訪問した国立駿河療養所では、所長さんはじめ職員の方々から施設の概要をご説明いただき4名の県人会の皆様と懇談をさせていただきました。
色々なお話を伺いましたが、私からは天皇皇后両陛下がこちらにご訪問になったと気の様子を伺いました。
厚生委員会の宮城副委員長から図書カ―ドとお茶が、鳥澤副委員長からは本県特産のミカンの目録を贈呈いたしました。
その後、納骨堂に県議会厚生委員長として県議会、県民を代表して献花をさせていただき、参加者全員で参拝させていただきました。
今回の訪問で改めてハンセン病問題についての認識と入所の皆様の思いを県議会としてもしっかり受け止め、二度と同じ間違いが起きないように語り継いでいかなければならないと強く思いを新たにいたしました。
お亡くなりになった皆様のご冥福を謹んでご祈念申し上げますとともに療養されています皆様のご健勝を心からお祈り申し上げます。